アレルギー科(花粉症、舌下免疫療法)
アレルギー科(花粉症、舌下免疫療法)
アレルギー・免疫科は花粉症や気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどに代表されるアレルギー疾患を専門的にみる診療科です。
人体には体の成分と違うものが体内に入ってくると、これを異物と捉えて取り除こうとする免疫機能があります。アレルギーはこの際に生じる免疫の過剰反応といえます。例えば、くしゃみは体内に入った異物を取り除くための反応ですが、免疫機能が過剰反応してしまうと、くしゃみが止まらなくなったり、くしゃみだけでなくかゆみも生じたりすることもあります。何をアレルギーに持つかは、遺伝的な要素から後天的な要素まで様々で、種類も無数にあります。当院では赤ちゃんからご年配の方まで、アレルギーに関する症状やお悩みに関して幅広く診療いたします。お気軽にご相談ください。
このような症状の方はご相談ください。
アレルギーでお悩みの方を広く診察いたします。
花粉症や喘息、じんましんでお悩みの方、何に対するアレルギーかわからずお困りの方などお気軽にご相談ください。
大阪大学の免疫フロンティアセンターにて、臨床にも従事してきた経験を生かした診療を行っています。
特異的アレルゲン(IgE)検査(血液検査)、プリックテスト、パッチテスト、経口食物負荷試験が可能です。より詳しい問診と検査で、必要最小限の除去食指導を行っています。また、診断後もなるべく早期の除去食解除に向けて細やかなフォローアップを行っています。
エピペン(アナフィラキシー補助治療剤)処方登録医です。
NO、呼吸機能検査が可能です。より正確な診断と治療が可能です。
舌下免疫療法(スギ、ダニ減感作)を扱っています。
食物アレルギー検査、スキンケア指導、環境整備指導、プロアクティブ療法を用い、つるつるのきれいな肌をキープできるように丁寧にご指導いたします。小児からご年配の方まで、アレルギーに関する症状やお悩みに関して幅広く診療いたします。
「これってアレルギーなの?」でも大丈夫です。お気軽にご相談ください。
ダニやハウスダストなどが原因となる通年性アレルギーは季節に関係なくみれますが、花粉症は一年中花粉が飛散しているわけではないため、季節性アレルギーとも呼ばれています。アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎の一種であり、スギやヒノキなどの花粉がアレルゲン(抗原)となって、目のかゆみ・異物感・充血、涙、立て続けのくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
春先はスギ、ヒノキ花粉、夏はイネ科、秋はブタクサなど、季節によって花粉の種類が異なりますが、複数の花粉にアレルギーがみられる方も少なくありません。また、近年は発症が低年齢化しており、以前までは少ないといわれていた小さいお子様にもよくみられるようになっています。アレルギー性鼻炎があると鼻が詰まって口呼吸になり、風邪もひきやすくなります。鼻炎を放っておくと副鼻腔炎(蓄のう症)や喘息の原因になることもあるので注意が必要です。
花粉症の症状は水のような「鼻水」と、繰り返す「くしゃみ」、鼻づまりが3大主徴です。くしゃみや鼻水などの症状により頻繁に鼻をかむことで、粘膜を傷つけて鼻出血が起こる場合もあります。目のかゆみを伴うことも多く、かゆくて目をこすったりしているうちに痛みを伴い、ゴロゴロとした異物感を生じることもあります。放っておくと結膜が充血してまぶたが腫れ、目の状態によっては、まぶしく感じたり、涙や目やにが出たり、見えにくいといった症状が現われることもあります。ほかにも咳、喉・皮膚のかゆみ、口の中の腫れ、ひどい場合には頭痛、倦怠感、微熱、下痢、体や顔のほてりなどを伴うこともあります。
これらの不快な症状によって、勉強や仕事、家事に集中できなかったり、よく眠れなかったり、イライラしたりするなど、日常生活に支障が出てきます。そのため、花粉症はしっかりと治療して症状を抑えることが大切です。
また、花粉症の人の中には、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇、舌、口の中や喉にかゆみやしびれ、むくみなどが現れることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こると考えられています。
診断は、医師による問診が主体になります。発症時期、家族のアレルギー歴、症状の内容、症状の強さ、ほかのアレルギーを併発しているかといった具体的な内容を詳しくうかがいます。症状のうち、くしゃみと鼻水は密接に関わり合っているので両者をまとめて「くしゃみ・鼻水型」とし、鼻づまりが他の症状にくらべて強いときは「鼻づまり(鼻閉)型」、症状が同じくらいのときは「充全型」に分類されます。重症度はそれぞれの症状の強さから判定します。1日にくしゃみを何回したか、1日に鼻を何回かんだか、1日にどのくらいの時間口呼吸をしていたかなどが判定の指標になります。くしゃみや鼻をかんだ回数が20回を超える場合や鼻が1日中つまっていれば最重症です。また、問診のうえで、どのアレルゲンに対するアレルギーなのかを特定するために血液検査や皮膚テストを行います。
特異的IgE抗体検査(採血検査)
【CAP RAST法】 血液を採取し試験管内でアレルゲンに対する特異的lgE抗体を検出します。検査したいアレルゲンを13項目まで選択できます。
【RIST法】 不特定のアレルゲンへの反応の程度を調べる非特異的IgE検査です。36項目を検査するMAST36、39項目を検査するView39などがあります。
皮膚(プリック)テスト
皮膚にアレルギー物質が含まれるエキスを少量滴下し、専用針で皮膚に小さなキズをつけてアレルギー反応を調べる検査です。アレルギーがある場合にはじんましん(膨疹)が現れます。
花粉症の治療は、アレルギー性鼻炎に対する治療と同様で、「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要になります。
<薬物療法>
薬物療法では鼻水を抑える抗ヒスタミン薬や、鼻の炎症を抑える点鼻ステロイド薬、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。目の症状には、抗ヒスタミン点眼薬などが用いられます。花粉飛散量が増えて症状が悪化してきたら、目のアレルギー性炎症に対して点眼ステロイド薬を用いる場合もあります。これらによって目のかゆみや充血の症状を改善します。
なお、抗ヒスタミン薬は多くの種類があり、人によって効く薬・効かない薬、副作用が強く出る薬・あまり出ない薬というように作用に個人差があります。医師と相談しながら、いくつかの抗ヒスタミン薬を試してみることが有効なこともあります。またアレルギー症状を楽にする漢方薬もあり、抗アレルギー薬と併用することも可能です。
【重症花粉症に対する新たな治療薬】
スギ花粉症の重症・最重症の方で既存の治療法で十分な効果が得られない場合、IgE抗体の働きを抑える注射製剤(抗IgE抗体オマリズマブ⦅ゾレア®⦆)による治療があります。使用するには一定の条件を満たす必要があります。以下がその概要です。
〇対象は12歳以上、体重20kg以上です。花粉飛散期(2月~5月)を目安に4週間ごと(又は2週間ごと)に通院にて皮下注射します。
〇従来の薬物療法(抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬など)を行っても重症または最重症のアレルギー性鼻炎症状が認められること。
〇治療前に総IgE値およびスギ特異的IgE値を測定する必要があります。総IgE値が異常高値(1500 IU/mL以上)の場合や、スギ特異的IgE値がクラス2(3.5 UA/mL)以下の場合は適応となりません。
〇対症療法であり体質改善などにはなりません。効果は注射をしている期間の1シーズン限りとなります。初回投与前の体重と血清中総IgE濃度により、1回あたりの投与量および投与間隔が違ってきます。また、抗ヒスタミン薬内服を併用します。
<アレルゲン免疫療法>
アレルゲン免疫療法は、減感作療法(げんかんさりょうほう)とも呼ばれています。原因となるアレルゲンを低濃度から体内に取り込み、徐々に濃度を高めていき慣れさせることで症状を緩和していく治療法です。アレルギー体質の改善を促す根本的治療として近年注目されています。
皮下注射で行う方法と舌下にアレルゲン(舌下錠)をとどめて行う舌下免疫療法があり、皮下注射は花粉、ダニ、カビなど、舌下錠は日本ではスギ花粉(シダキュア®)とダニ(アシテア®・ミティキュア®)が保険適用になっています。
治療期間が3~5年と根気のいる治療ですが、薬物療法で副作用が出るために治療が継続できない方や、薬物療法だけでは症状が抑えられないような方に、この免疫療法が考慮されます。
<手術療法>
手術療法には、鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。薬物療法でも症状が抑えられない場合などに考慮される治療です。
症状の出やすい時期が予測できる花粉症では、「初期療法」という考え方が適用されます。花粉症は一般的に悪化してから治療を始めると、薬の効果が得られにくく症状もなかなか改善しません。初期療法は花粉飛散時期の2週間程度前から、もしくは症状が少しでも現れた時点で抗アレルギー薬による治療を開始します。早めに薬を使用することで、花粉飛散ピーク時の症状を抑えることができたり、症状が現われる期間を短くできたり、薬剤の使用を少なくできる、といったメリットが期待できます。毎年、花粉症の症状にお悩みの場合は、症状が現われる前に受診されることをお勧めします。
<花粉の飛散時期>
スギ花粉(時期:1~5月)ヒノキ花粉(時期:2~6月) シラカンバ花粉(時期:4~6月) カモガヤ花粉(時期:5~7月) イネ科植物(時期:3~10月) キク科植物(ブタクサ属・ヨモギ属、クワ科)(時期:8~10月)
<花粉が多く飛びやすい天候・時間>
花粉は雨が降れば地面に落ち、飛散量が少なくなりますが、雨が上がると遠くから飛散する花粉に加え、地面の花粉も巻き上げられます。この際、飛散する花粉は倍増します。また、花粉の飛散は1日に2回のピークがあり、午前中から昼過ぎにかけて1回目のピークを迎え、午後、いったん落ち着き、夕方に2回目のピークを迎えると一般的にいわれています。
<日常生活での注意事項と対策>
・花粉情報を確認しましょう
花粉飛散時期にはテレビ・ラジオのニュース、インターネット、スマホアプリなどで花粉飛散予測が確認できます。花粉が多いときは外出を控え、外出せざるを得ないときには事前に花粉情報から対策を立てましょう。
・花粉を回避する服装をしましょう
花粉は全身に付着しやすいため、外出時は、頭髪は帽子、目・鼻はメガネやマスク、首はマフラーやスカーフで付着を防ぎましょう。また、上着は花粉が付着しにくいような表面がツルツルした生地のものを選ぶようにしましょう。
・花粉を家の中に入れない対策を
花粉の飛散が多い時は、洗濯物は外に干さないようにしましょう。家に入る時は衣服についた花粉を玄関前で払い落とし、すぐに着替えて洗顔やうがいなどで体から花粉を取り除きます。人工涙液を点眼して花粉を洗い流すといった対策もあります。
アレルゲン免疫療法は、アレルゲン※1を低濃度から体内に取り込み、徐々に濃度を上げていき、慣れさせることで体質改善を目指す治療法です。薬物治療(対症療法)とは異なり、根本的にアレルギーを治療する方法として注目されています。従来から注射による皮下免疫療法が行われていましたが、アナフィラキシー※2などの副反応、頻回な通院、そして毎回注射の痛みも伴います。このような皮下免疫療法の負担を軽減した治療法が、舌の下に治療薬を投与する舌下免疫療法です。これにより、ご自宅での服薬で免疫療法が行えるようになりました。
舌下免疫療法は1980年代に海外で開始された治療法で、日本では2014年にスギ花粉症で初めて保険適用となり、翌年の2015年には、ダニを原因とする通年性アレルギー性鼻炎も保険適用となりました。このため現時点での日本における舌下免疫療法の適応は、スギ花粉またはダニが原因となるアレルギー性鼻炎と診断された方で、薬物療法でアレルギー性鼻炎の症状やQOL(生活の質)を十分にコントロールできない方、あるいは、アレルギー性鼻炎の臨床的寛解※3をご希望される方、となっています。
一方、重症喘息などを合併する方は受けられず、高血圧(ベータ遮断薬)を服用している方、治療開始時に妊娠している方も控えるべきとされています。
※1 アレルゲン:アレルギーを起こす物質
※2 アナフィラキシー:医薬品などに対する急性の過敏反応で、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(蒼白、意識の混濁など)がみられる病態
※3 臨床的寛解:炎症によって引き起こされる疾患の症状や徴候がまったくないこと
アレルギー性鼻炎は、スギ花粉などによって引き起こされる季節性アレルギー(花粉症)と、ダニやハウスダストなどによって引き起こされる通年性アレルギーに大別されますが、どちらも混在していることもしばしばあります。症状は季節性・通年性のいずれも、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、充血などです。一般的な治療としては、原因が特定できる場合は、可能な限り原因の回避と除去(こまめな掃除など)を行います。アレルギー性鼻炎の薬物療法は広く行われており、症状や重症度に応じて抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などを用います。
根本的な観点からアレルギーを治療する舌下免疫療法は、スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎ともに5歳以上から治療対象となります。通年性のダニアレルギー性鼻炎は、一年を通して治療できますが、スギ花粉症の場合、スギ花粉が飛散する時期は治療できず、飛散が終わる6月以降から治療を開始できます。
舌下免疫療法は、治療期間は3~5年と長期にわたりますが、ご自宅で服用できるため継続しやすいといったメリットがあります。長期的に正しく治療することで、症状を完全に抑えたり、症状を緩和しアレルギー治療薬を減らせたりする効果が期待できます。
アレルギー性鼻炎の患者様の25%程度に喘息の合併があり、気管支喘息の患者様の約70%にアレルギー性鼻炎が合併するといわれています。アレルギー性鼻炎の症状が悪化すると喘息もひどくなるケースが多く、アレルギー性鼻炎と喘息を合わせて治療することが重要です。また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患も合併しやすくなるといわれています。
・スギ花粉症の診断
毎年、スギ花粉の飛散期に、くしゃみ、鼻のかゆみ、鼻水、鼻づまり鼻症状が認められ、時として目のかゆみなどを伴う場合、スギ花粉症が疑われます。これらの所見に皮膚テストあるいは特異的IgE検査の結果を組み合わせて診断します。さらに鼻汁好酸球検査が陽性であれば診断の精度が高まります。
・ダニアレルギー性鼻炎の診断
通年性のくしゃみ、鼻のかゆみ、鼻水、鼻づまりの典型的な鼻症状が認められ、目のかゆみなどの眼症状、咳、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などの喘息症状などを伴う場合、ダニアレルギー性の可能性が考えられます。これらの所見に皮膚テストあるいは特異的IgE検査の結果を組み合わせて診断します。
治療は3~5年継続する必要があります。長期間かけて体をアレルゲンに慣らし、免疫力を高め体質を改善する治療とお考えください。
スギ花粉症では、治療を開始してはじめて迎えるスギ花粉飛散のシーズンから、ダニアレルギー性鼻炎では、治療を開始して数ヶ月後から効果が期待できます。年単位の治療継続で最大の効果が得られると考えられています。
※ただし、すべての患者様に同様の効果が期待できるわけではないことをご了承ください。
・服用について
1日1回、少量の治療薬から服用をはじめ、増量期を経て、決められた一定量を数年間継続していただきます。初日の服用は、当院で医師の監督のもと行い、2日目からはご自宅で服用いただきます。基本的に、1ヶ月に1回受診いただき、副作用や治療効果などを確認させていただきます。
・服用例
治療薬を舌の下に置き、薬ごとに定められた時間を経過した後に飲み込みます。
その後5分間は、うがい、飲食を控えます。また、運動や入浴は2時間程度避けるようにします。
・治療開始の時期
スギ花粉症の場合、スギ花粉の飛散時期はアレルゲンに対する体の反応性が過敏になっているため、新たに治療をはじめることはできません。一方、ダニアレルギー性鼻炎の場合は、時期に関わらず治療をはじめることができます。
スギ花粉とダニの両方に対してアレルギーがある方は、治療は並行して可能ですが、同時に開始することはできません。まず、どちらかを開始して、症状が安定してからもう一方の治療を開始します。いずれの場合におきましても、適切な開始時期を提案させていただきます。
・治療対象年齢
スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎の治療対象年齢は、いずれも5歳以上です。
・期待できる効果
長期にわたりアレルギー性鼻炎の症状を抑える効果が期待できます。症状が完全に抑えられない場合でも、症状を緩和し、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
▷くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
▷涙目、目のかゆみの改善
▷アレルギー治療薬の減量
▷QOL(生活の質)の改善
・主な副作用
舌下免疫療法では重篤な副作用が発生することは稀とされており、軽微な症状としては、次のようなものが報告されています。ほとんどが一時的なものですが、もしこのような症状が出現し、治まらない場合はすぐに受診してください。
▷口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、異常感
▷唇の腫れ
▷喉(のど)の刺激感、不快感
▷耳のかゆみ
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