睡眠外来(不眠症・睡眠時無呼吸症候群)
睡眠外来(不眠症・睡眠時無呼吸症候群)
睡眠障害とは、睡眠に関して何らかの問題がある状態を言います。
睡眠障害の背景には、人口の高齢化、ライフスタイルの多様化、生活リズムの乱れ、ストレスなどがあるのかもしれません。睡眠に問題があるというとまず思い浮かぶのは不眠ですが、それ以外にも昼間眠くて仕方がない、睡眠中に病的な運動や行動が起きてくる、睡眠のリズムが乱れて戻せない、など他の特徴を持つ疾患もあります。睡眠障害によって日中の眠気やだるさ、集中力の低下などが引き起こされると、日々の生活に支障をきたし、極端な場合にはさまざまな事故につながることもあります。
また、睡眠障害が長期間持続すると、生活習慣病やうつ病などにかかりやすくなると言われています。そのため、睡眠障害は放置せず、適切に対処することが重要です。
睡眠障害の治療は疾患によって異なっており、睡眠薬の服用だけが睡眠障害の治療ではありません。症状やサイン、診察や検査の結果から、その原因となる疾患を適切に診断し、原因に応じた治療を行ってまいります。
このような症状やお悩みがある方はご相談ください。
睡眠障害の一つで、寝付けなかったり良質な睡眠が得られなかったりすることで日中の眠気、倦怠感や集中力低下、意欲や食欲の低下などにつながり、体や心に不調が現れる状態です。就寝から30〜1時間以上寝付けない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、起床時刻の2時間以上前に目が覚めて再度眠れない「早朝覚醒」、眠りが浅く熟睡したという感覚が得られない「熟眠障害」の4タイプに分かれます。約5人に1人が不眠症で悩んでいるといわれる、まさに国民病です。女性に比較的多く発症し、加齢とともに生じやすいのが特徴です。
原因は神経質な性格、ストレスや不規則な生活、薬の副作用や嗜好品の影響など多岐にわたります。気管支喘息による低酸素化が原因だったり、心不全や糖尿病などによる頻尿が原因となる場合もあり、診断に注意が必要です。また、うつ病などの精神疾患が原因の場合もあります。生活習慣を整えても改善されない場合は、気軽にご相談ください。生活習慣や環境の改善を行っても効果が出ない場合は、睡眠薬による薬物療法を行います。睡眠薬は服用を始めると手放せなくなるのでは、量が増えるのでは、副作用が心配、という印象を抱く方も多いですが、現在の睡眠薬は副作用も少なく自然に近い眠りへと導きます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止するか、浅くなる状態を指します。主に2種類があります。
https://www.philips.co.jp/healthcare/solutions/sleep-and-respiratory-care
診断には、睡眠ポリグラフ検査が行われることが一般的です。治療方法は以下の通りです。
無呼吸症候群は、放置すると高血圧、心疾患、脳卒中、糖尿病などのリスクを高めるため、早期の診断と治療が重要です。
睡眠に関する問題がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。
時間や場所にかかわらず、突然強い眠気に襲われ、居眠りを1日に何回も繰り返してしまう病気です。古くから知られる過眠症のひとつです。泣いたり怒ったり笑ったりなどの情動の大きな変化を契機として、発作的に全身の力が抜けてしまう症状「情動脱力発作(カタプレキシー)」という症状を伴うこともあります。脳の中にあるヒポクレチン(オレキシン)を作り出す神経細胞(ヒポクレチン・ニューロンまたはオレキシン・ニューロン)が働かなくなることによって起こるといわれています。思春期に発症することが多く、男女で有病率の差はないとされています。症状だけで診断することはできないので、睡眠検査室での検査が必要となります。夜に十分な睡眠をとっていたとしても、日中に突然眠気に襲われて寝てしまうことや、車の運転中などに突然眠ってしまうこともあるため、病院での治療が必要です。
睡眠時の身体の症状によって睡眠が妨げられる症状を睡眠関連運動障害といいます。「歯ぎしり」や「周期性四肢運動障害」などがありますが、代表的なものは「レストレスレッグス症候群(RLS)」です。これは別名「むずむず脚症候群」ともいい、静かに横になったり座ったりしている状態で、痛みを伴うこともある不快な下肢の異常感覚により、脚を動かしたいという強い欲求が起こる神経疾患です。むずむず、チクチクする感覚、ひりひり熱い、虫が這うような感覚が起こり、脚を動かすことで症状が軽減されます。夕方から夜に症状が重くなるので、不眠症の原因となります。
鉄分の不足が深く影響しているとみられるほか、神経背側視床下部に存在するドーパミン神経核の機能低下などが関与していると考えられています。鉄やフェリチンなどを血液検査で調べ、鉄が不足している場合は補います。その他の場合はドーパミン受容作動薬の内服や貼り薬の貼付を使用します。効果不十分な場合は、必要に応じて抗てんかん薬の一部を用いることもあります。
高齢者に起こりやすい“ねぼけ”に似た症状で、「REM睡眠行動障害」というのがあります。眠っている間に夢体験に関連して殴る蹴るなどの暴力的な行動を起こし、パートナーやペットを驚かせたり、自身もケガをしたりするような症状が現れます。本来は夢を見ている時(REM睡眠時)は筋肉が弛緩して身体の動きは抑えられているので、夢の中で激しく動いても実際の動きに現れることはありません。ところがこの身体の動きを抑える脳機能が障害を受けると、実際の行動に出てしまうようになります。途中で目を覚まさせることが容易で、その時に「夢を見ていた」ことが自覚できるのも特徴です。医師の指導のもと投薬治療を行うのが効果的です。一般的な治療薬の他にも漢方薬を用いたり、メラトニン受容体作動薬を用いることもあります。
昼夜のサイクルと、体内時計のリズムがずれてしまっているために、夜から朝という一般的な睡眠時間帯に眠ることができず、日中の社会活動に影響をきたしてしまう睡眠障害です。一般的な夜更かしから夜勤などのシフト制労働、時差ぼけなどさまざまなことが原因となります。治療には根本的な生活リズム改善が大前提ですが、効果不十分な場合にはメラトニン受容体作動薬を中心に、必要に応じて睡眠薬やビタミンB12などの薬剤を用います。